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「カリスマ日本語教師」が志継ぐ作文コン 世界大会で草の根育てたい
2026.03.28
昨年まで30年以上にわたり続いてきた日本語作文コンクールを継承し、世界各地の日本語学習者から作文とスピーチを募る大会が、今春から始まる。参加者が日本語で自分の経験や考えを世界に発信できる場を作り、国と国をつなぐ「草の根の存在」を育てることを目指している。
大会は「大森杯・『日本語作文・スピーチ』世界大会」。これまで中国で400の学校の日本語教育の場を回り、ユニークな指導法で教え子が次々とスピーチ大会で入賞したことから「カリスマ日本語教師」とも呼ばれるNPO法人「日本語スピーチ協会」理事長の笈川(おいかわ)幸司さん(55)が主催する。
「大森杯」としたのは、世界の日本語学習者に自作の教材を提供する活動などを続けてきた「国際交流研究所」の大森和夫さん(85)・弘子さん(85)夫妻が、1989年から昨年まで37年にわたり開催してきた日本語作文コンクールを引き継いだからだ。
■「いいことをされていますね」と励まされた
笈川さんは、漫才師を経て日本語教師になったという異色のキャリアを持つ。鳴かず飛ばずだった漫才師の道を諦めて、2001年に中国に渡った。日本語を教えるアルバイトがきっかけで、日本語教師の道へ。大森和夫さんとは、20年ほど前に北京の大学で初めて会った。当時、学生たちと学食でいつも食事を共にして、ボランティアで深夜までスピーチ練習に付き合っていた笈川さんに、「一銭にもならないことをやっても無駄だよ」と言う日本人駐在員もいた。しかし、大森さんは「いいことをされていますね」と笈川さんを励ましてくれたという。
「大森さんの言葉が、それからの私の教育活動の原点になった」と笈川さんは振り返る。大森さんから中国各地の大学関係者を紹介してもらったことがきっかけで、日本語に関する講演や授業で中国全土110都市を回ることになった。
大森さんとの交流はその後も長く続いているが、大森さんが高齢のため昨年でコンクールに幕を閉じることになった。世界各地から終了を惜しむ多くの声が寄せられていることを知って、「志を受け継ぎたい」と思ったという。
笈川さんは、コロナ禍を機に21年に帰国し、現在は母親が住む福島県広野町を拠点に活動する。国内外で講演したり、リモートで日本語教師研修や学習者向けのトレーニングを行ったりしている。
■中国からの応募減少を懸念
大会の作文とスピーチのテーマは「私と日本」。笈川さんが長年スピーチを重視し、「生きた日本語」を学生たちに身につけさせる指導をしてきたことから、新しい大会にはスピーチの審査も加えた。
応募できるのは外国籍を持つ日本語学習者で、国籍や居住地、年齢は問わない。最初に作文についての審査があり、それで選ばれた人たちに、作文の内容に沿ったスピーチを録画して送ってもらう。それをもとにオンラインで審査員らと質疑応答するなどして入賞者が決まる。
応募期間は4月1日~5月31日で、世界を4地域に分けた地区大会と世界大会を経て、10月に最終審査結果が発表される予定だ。最優秀賞の受賞者には、学習奨励金として30万円が贈られる。詳しい応募方法は、NPO法人「日本語スピーチ協会」のサイト(https://oikawakohji.com/event/omorihai/)で。
昨年までの作文コンクールでは、中国の学生からの応募が一番多かった。しかし、日中関係の悪化により、今大会は中国からの応募の減少が懸念されるという。笈川さんは「中国の状況は厳しいが、近年はアニメや音楽などで日本に関心を持って日本語を学ぶ若者が、アジアやアフリカ、中南米などで増えている」としたうえで、「語学を通じて日本への理解を深めてもらいたい。この大会を、学歴や職業、年齢などに関係なく、国と国の関係を支える草の根の存在となる人たちを育てる場にしたい」と話している。(山根祐作)
大会は「大森杯・『日本語作文・スピーチ』世界大会」。これまで中国で400の学校の日本語教育の場を回り、ユニークな指導法で教え子が次々とスピーチ大会で入賞したことから「カリスマ日本語教師」とも呼ばれるNPO法人「日本語スピーチ協会」理事長の笈川(おいかわ)幸司さん(55)が主催する。
「大森杯」としたのは、世界の日本語学習者に自作の教材を提供する活動などを続けてきた「国際交流研究所」の大森和夫さん(85)・弘子さん(85)夫妻が、1989年から昨年まで37年にわたり開催してきた日本語作文コンクールを引き継いだからだ。
■「いいことをされていますね」と励まされた
笈川さんは、漫才師を経て日本語教師になったという異色のキャリアを持つ。鳴かず飛ばずだった漫才師の道を諦めて、2001年に中国に渡った。日本語を教えるアルバイトがきっかけで、日本語教師の道へ。大森和夫さんとは、20年ほど前に北京の大学で初めて会った。当時、学生たちと学食でいつも食事を共にして、ボランティアで深夜までスピーチ練習に付き合っていた笈川さんに、「一銭にもならないことをやっても無駄だよ」と言う日本人駐在員もいた。しかし、大森さんは「いいことをされていますね」と笈川さんを励ましてくれたという。
「大森さんの言葉が、それからの私の教育活動の原点になった」と笈川さんは振り返る。大森さんから中国各地の大学関係者を紹介してもらったことがきっかけで、日本語に関する講演や授業で中国全土110都市を回ることになった。
大森さんとの交流はその後も長く続いているが、大森さんが高齢のため昨年でコンクールに幕を閉じることになった。世界各地から終了を惜しむ多くの声が寄せられていることを知って、「志を受け継ぎたい」と思ったという。
笈川さんは、コロナ禍を機に21年に帰国し、現在は母親が住む福島県広野町を拠点に活動する。国内外で講演したり、リモートで日本語教師研修や学習者向けのトレーニングを行ったりしている。
■中国からの応募減少を懸念
大会の作文とスピーチのテーマは「私と日本」。笈川さんが長年スピーチを重視し、「生きた日本語」を学生たちに身につけさせる指導をしてきたことから、新しい大会にはスピーチの審査も加えた。
応募できるのは外国籍を持つ日本語学習者で、国籍や居住地、年齢は問わない。最初に作文についての審査があり、それで選ばれた人たちに、作文の内容に沿ったスピーチを録画して送ってもらう。それをもとにオンラインで審査員らと質疑応答するなどして入賞者が決まる。
応募期間は4月1日~5月31日で、世界を4地域に分けた地区大会と世界大会を経て、10月に最終審査結果が発表される予定だ。最優秀賞の受賞者には、学習奨励金として30万円が贈られる。詳しい応募方法は、NPO法人「日本語スピーチ協会」のサイト(https://oikawakohji.com/event/omorihai/)で。
昨年までの作文コンクールでは、中国の学生からの応募が一番多かった。しかし、日中関係の悪化により、今大会は中国からの応募の減少が懸念されるという。笈川さんは「中国の状況は厳しいが、近年はアニメや音楽などで日本に関心を持って日本語を学ぶ若者が、アジアやアフリカ、中南米などで増えている」としたうえで、「語学を通じて日本への理解を深めてもらいたい。この大会を、学歴や職業、年齢などに関係なく、国と国の関係を支える草の根の存在となる人たちを育てる場にしたい」と話している。(山根祐作)