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木地師の里 歩みに光 滋賀・東近江でアーカイブ 用途で分類
2026.01.06
滋賀県東近江市は、ろくろで盆や椀(わん)を作る木地師について、市で保管している関係資料を再整理し、報告書にまとめた。慶弔事や飲食、調理、遊戯、製作といった用途別に分類し、資料の全体像を明らかにすることで、人々の暮らしを豊かにしてきた木地師の歴史的役割を浮かび上がらせる取り組みだ。
この事業は「木地師のふるさとアーカイブ・プロジェクト」。市東部の山間の小椋谷地域には、平安時代前期の文徳天皇の第1皇子、惟喬(これたか)親王(844~897)がろくろの技術を伝え、木地師が全国に広がったという伝説がある。全国の木地師を総括する中心地だったとされる。
市がプロジェクトの対象にしたのは、市内の能登川博物館や旧湖東歴史民俗資料館、中島家で保管されてきた漆器やこけし、伐採用のこぎりなど1429点。全国の木地師の作品や道具だ。市民ボランティア22人が中心となり、2018年から6年がかりで作品の写真撮影や計測、台帳作成を続けた。
用途別分類の最多は「食を楽しむ/もてなす」の463点。旧湖東歴史民俗資料館の収蔵資料は「祝う/弔う/信じる」に分類されたものも目立ち、共同体の中での地域の人間関係や信仰のかたち、冠婚葬祭のあり方が反映されている。
「遊ぶ/飾る/くつろぐ」の355点が次いだ。能登川博物館の収蔵品に集中し、東北地方の11系統のこけしや、こまなどの玩具が目立つ。
古来、盆や椀のもととなるブナやトチの良材を求めて山林を移動した木地師。だが、近代に入ってから難しい状況に陥ったという。
プロジェクトを指導した須藤護・龍谷大学名誉教授(民俗学)は報告書で「明治時代以降に山の所有権が確定され、原木の確保が難しくなった」と指摘。漆器よりも安価で真っ白な磁器の茶わんが、全国に張り巡らされた鉄道で各地に運ばれ、食器の主流になった点も挙げる。
一方で、ろくろを扱う木地師の技術が一面で日本の近代化を支えた。明治期には輸入に頼っていた万年筆が大正期に国産化され、その軸の製作に木地師の伝統技術が生かされた。
須藤さんは取材に「近代に入ると、ろくろの動力は手動から水力、さらに電力に代わり、格段に性能が上がった。また刃物の改良、多種類化が進み精巧な木地物の製作が可能になった。そのことが人々の暮らしを豊かにする多様な木製品を生み出すことにつながった」と話す。
報告書は55ページ。市のホームページで公開している。市は能登川博物館に収蔵されている木地師の作品を厳選し、同博物館で9日正午まで、市役所1階の市民ギャラリーで15日午後1時~29日午後5時(土・日曜閉庁)、永源寺図書館で30日午後1時~2月13日正午(月・火曜と11日休館)に展示する。(辻岡大助)
この事業は「木地師のふるさとアーカイブ・プロジェクト」。市東部の山間の小椋谷地域には、平安時代前期の文徳天皇の第1皇子、惟喬(これたか)親王(844~897)がろくろの技術を伝え、木地師が全国に広がったという伝説がある。全国の木地師を総括する中心地だったとされる。
市がプロジェクトの対象にしたのは、市内の能登川博物館や旧湖東歴史民俗資料館、中島家で保管されてきた漆器やこけし、伐採用のこぎりなど1429点。全国の木地師の作品や道具だ。市民ボランティア22人が中心となり、2018年から6年がかりで作品の写真撮影や計測、台帳作成を続けた。
用途別分類の最多は「食を楽しむ/もてなす」の463点。旧湖東歴史民俗資料館の収蔵資料は「祝う/弔う/信じる」に分類されたものも目立ち、共同体の中での地域の人間関係や信仰のかたち、冠婚葬祭のあり方が反映されている。
「遊ぶ/飾る/くつろぐ」の355点が次いだ。能登川博物館の収蔵品に集中し、東北地方の11系統のこけしや、こまなどの玩具が目立つ。
古来、盆や椀のもととなるブナやトチの良材を求めて山林を移動した木地師。だが、近代に入ってから難しい状況に陥ったという。
プロジェクトを指導した須藤護・龍谷大学名誉教授(民俗学)は報告書で「明治時代以降に山の所有権が確定され、原木の確保が難しくなった」と指摘。漆器よりも安価で真っ白な磁器の茶わんが、全国に張り巡らされた鉄道で各地に運ばれ、食器の主流になった点も挙げる。
一方で、ろくろを扱う木地師の技術が一面で日本の近代化を支えた。明治期には輸入に頼っていた万年筆が大正期に国産化され、その軸の製作に木地師の伝統技術が生かされた。
須藤さんは取材に「近代に入ると、ろくろの動力は手動から水力、さらに電力に代わり、格段に性能が上がった。また刃物の改良、多種類化が進み精巧な木地物の製作が可能になった。そのことが人々の暮らしを豊かにする多様な木製品を生み出すことにつながった」と話す。
報告書は55ページ。市のホームページで公開している。市は能登川博物館に収蔵されている木地師の作品を厳選し、同博物館で9日正午まで、市役所1階の市民ギャラリーで15日午後1時~29日午後5時(土・日曜閉庁)、永源寺図書館で30日午後1時~2月13日正午(月・火曜と11日休館)に展示する。(辻岡大助)