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施設の青年たちが商店街のごみ拾い、顔を覚えてもらう先にある思い

2025.12.12
 和歌山市の中心商店街の一つ、東ぶらくり丁商店街で、地元にある自立援助ホーム「一般社団法人長生楽ぶらくり」(同市新雑賀町)に入所する青年らが月に1度、ごみ拾いをしている。地域ボランティアを始めた狙いとは――。
 今月7日午前10時、東ぶらくり丁商店街。施設の青年6人や商店街の飲食店オーナーら16人が集まった。
 青年たちは、ごみばさみやごみ袋を手に、約200メートルの商店街を東に歩きながら、落ちているたばこの吸い殻や紙切れなどを収集。ゴミを集めるのに腰をかがめたり、空き地の草むらをかき分けたりもした。商店街の人たちと談笑しながら30分ほど作業を続けた。
 施設は昨年10月、商店街の一角にできた。和歌山県の児童相談所からの紹介で、家庭の事情で家に住めなくなったり親から暴力を受けたりして児相に保護された16~19歳の青年7人が入所している。施設で共同生活をしながら学校や仕事に向かう。運営資金は県からの補助金などでまかなっている。
 ごみ拾いを始めたきっかけは施設への苦情からだった。
 青年たちが施設の前で集まって話し込んだり、たばこを吸ったりする姿に、近隣住民が悪い印象を持った。「(施設の青年が)原付きバイクで2人乗りをしていた」などと、いわれのない指摘をされたこともある。
 施設の代表理事、酒井司さん(48)は、誤解されるのは地域の人が青年たちのことを知らないからだと考えた。まずは顔を覚えてもらおう。そこで考えたのが、地域ボランティアとしてのごみ拾いだった。
 7日のごみ拾いに参加した飲食店オーナーの男性は「初めは緊張した感じだったけど徐々に彼らは笑顔になった。話してみると普通の若者。これからも商店街のみんなで見守っていけたら」と話した。