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自家製堆肥でバラ120本、全国コンで大賞受賞 埼玉県の小針北小

2025.11.01
 花にまつわる優れた活動を表彰する「全国花のまちづくりコンクール」の大賞(学校部門)に、埼玉県伊奈町の小針北小学校のバラ栽培が201校の中から選ばれた。校庭の雑草などで自家製の肥料を作り、自然循環にも配慮してバラ約120本を育てている活動が評価された。
 このコンクールは公益財団法人・都市緑化機構などの主催で、今年で35回目。部門は「学校」のほか、「市町村」「企業」「個人」などがある。小針北小は今回初めて応募し、学校部門の大賞にあたる文部科学大臣賞を受賞した。
 伊奈町には県内最大級のバラ園をもつ公園があり、見頃となる春と秋には「バラまつり」が開かれる。小針北小は一昨年、このまつりで展示されたバラ40鉢を譲り受け、学校として独自に栽培を始めた。
 一昨年度、昨年度、今年度と、その年の6年生(各年度約130人)が、公園のバラ園の手入れをするボランティアのアドバイスも受けながら、校舎2階のバルコニーなどに置いたバラの枝の剪定(せんてい)、水やり、病害を防ぐ低農薬の微生物培養液の散布などをしてきた。
 春と秋に色鮮やかとなる校舎2階のバルコニーは、いつのまにか「バラコニー」と呼び名が変わり、バラの数も3年で約120本に増えた。6年生の葛山大翔さん(12)は「今年は夏に病気にかかったバラもあり、低農薬の培養液をまくのが大変でした」と話す。
 今回の受賞にあたって特に評価されたのは、自前の肥料づくりなど環境に配慮していること、地域の人との交流を通じて活動が社会に開かれている点という。
 肥料は、校内で抜いた雑草のほか、地元のJAやコメ農家から米ぬかを、町内の乗馬クラブから馬糞(ばふん)を、近くの町の公園からは落ち葉を分けてもらい、校庭の片隅でそれらを混ぜたものを発酵させて作る。「自然から還元して作った肥料でも、満開の花を咲かせることができます」と指導する阿久津直人教諭はいう。
 6年生はこのほか、バラの花のドライフラワーを材料にしたインテリア装飾、3Dプリンターでオリジナルの植木鉢などを作り、校内で11月に開く「小針北小バラまつり」で地域の人に販売。その収益は翌年度のバラ栽培活動費に充てている。
 今年の6年生は、新たなローズガーデンの造成にも取り組む。児童が校庭内の約200平方メートルをシャベルで整地し、近くの公園からバラの苗の肥料となる間伐材をリヤカーで運搬。石黒剣伸さん(12)は「間伐材の枝が手に刺さったりして苦労しました」。ガーデンは来年3月までに完成させ、いま育てているバラとともに来年度の6年生に引き継ぐ予定だ。
 3Dプリンターでバラ関連商品を作ることもした池淵広喜さん(12)は「これからも活動が続いて、学校に永遠にバラが咲いていてほしい」。学校のホームページでこの活動の広報なども担当した澤柳杏美花さん(12)は「みんなの努力と協力が評価されたのは誇り。卒業後もバラが増えて、学校全体に咲くようになればうれしい」と話した。(稲垣直人)