体験談
愛知名古屋アジア大会のオンライン研修を終え、いよいよ本番が迫ってきた。
画面越しに何度も確認した資料や説明が、少しずつ自分の中で立体的なイメージとなり、「ああ、いよいよ始まるんだ」と実感が湧いてきた。
大会は9月19日から始まり、私が担当する輸送サポートもその流れに合わせて本格的に動き出す。
オンライン研修前は正直、「輸送サポートってどこまで関わるんだろう」と曖昧な部分も多かった。
しかし、オンライン研修を重ねるうちに、役割の輪郭がはっきりと見え始めた。
輸送サポートは、単なる案内係ではない。
大会運営の中でも特に重要度の高い人々――AOC(アジアオリンピック評議会)関係者や各国のVIPが、競技会場内や関連施設で迷わず、ストレスなく移動できるように支える役割だ。競技会場内の動線、控室、セキュリティチェックポイントなど、彼らが移動するすべてのルートを把握し、必要なタイミングで必要な案内を行う。彼らの移動が滞りなく進むかどうかは、大会全体の印象にも直結する。まさに「大会の顔」を裏側から支える仕事だと感じている。
私は、英語は得意ではない。それは自分でもよくわかっているし、研修中も「うまく伝えられるかな」と不安がよぎった。しかし、同時通訳アプリが支給されていると知った瞬間、心の中の霧が一気に晴れた。完璧な英語でなくてもいい。大切なのは、相手に寄り添う姿勢と、丁寧なコミュニケーションだ。東京マラソンや世界陸上でのボランティア経験から、言語よりも態度や表情が相手の安心につながることを何度も体感してきた。
だから今回も、きっと大丈夫だと自分に言い聞かせている。
そして今回は、国際大会の要人であるAOCやVIPの方々をお迎えする。彼らが競技会場内でスムーズに動けることは、大会の信頼性そのものにつながる。だからこそ、輸送サポートは「ただ案内する」ではなく、「安心を提供する」役割だと強く感じている。相手が求めている情報を瞬時に察し、必要なサポートを迷いなく提供する。そのためには、研修で得た知識だけでなく、現場での判断力や柔軟性も求められる。責任は大きいが、その分やりがいも大きい。
初日は9月22日。競技会場に立つ自分の姿が、すでに頭の中で鮮明に浮かんでいる。緊張はもちろんある。しかし、それ以上にワクワクしている。国際大会という特別な舞台で、アジア各国の要人を迎えるという貴重な機会。その瞬間、自分がどんな表情で立っていたいか――答えはひとつだ。
最高の笑顔で迎える。
その笑顔が、相手の緊張をほぐし、日本への信頼を深め、心地よい滞在につながるかもしれない。自分の対応が誰かの安心や満足につながると思うと、胸が熱くなる。笑顔は言葉を超える。文化も言語も違う人々にとって、最初に届く“歓迎のサイン”になる。
オンライン研修を終えた今、ようやくスタートラインに立った気がする。ここから本番までの数週間、気持ちを整え、必要な情報を再確認し、最高の状態で初日を迎えたい。
今回の大会は大きく、役割は重い。しかし、その重さを楽しめる自分でありたい。アジア大会という舞台で、また新しい経験が積み重なっていく。その瞬間を心から楽しみにしている。