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音楽と人の縁、育み続けた 岐路に立つ「つべつ日フィルセミナー」

2026.09.25
 全国のアマチュアが楽器を携えてオホーツクの山間に集い、プロと共にひとつの音楽を完成させる。そんな営みが29回続いてきた。
 津別町で9月初旬に開かれた、合宿形式のオーケストラ短期講習「つべつ日本フィルセミナー」。今年は高校生から後期高齢者まで過去最多の62人が受講、道外の参加者は19人だった。
 3日間で15時間以上の集中練習に「学生時代以来」と笑う参加者も。指導・指揮は碇山隆一郎さん。成果を披露する最終日の演奏会で、各パート講師を務める日本フィルハーモニー交響楽団楽員ら13人も舞台に上がった。
■ブラームスとエルガーを熱演
 課題曲はブラームス。「大学祝典序曲」では老いも若きも青春賛歌を奏で、「交響曲第3番」では美しい旋律のリレーで一体感を醸す。アンコールはエルガーのエニグマ変奏曲「ニムロッド」。すべての楽器のパートがあり、観客を含めたすべての人に感謝を表現するために選ばれた曲。大きく跳躍する主題が波のように繰り返され、大編成の管弦楽の響きが会場の公民館を満たした。
 妻と千歳市から初参加したトランペット奏者の男性は、「普通のアマチュアにこれほど門戸が開かれている場はない」と感謝する。練習の合間に町民ボランティアがジンギスカンや手作りカレー、具乗せ放題うどんなどでもてなし、楽員らは近隣中高の吹奏楽団員らのレッスンも担当。プロの指導に子どもたちは「長年の疑問が解けた」「演奏のコツも教わった」と口々に喜びを語った。
 地元に愛され、リピーターも多いセミナー。だが、長年支えてきたボランティアの高齢化などで、来年の第30回で現行の運営方法に区切りをつけることが決まり、大きな転機を迎えようとしている。
 鹿児島県の離島・喜界島出身で全国で指揮を執る碇山さんは「プロや学生向けセミナーは多いが、大人のアマチュアのためのセミナーは、知る限りほとんどない。『静かな自然』の中で日本フィル楽員が経験と知恵をアマの皆さんに伝え、音楽と真剣に向き合える時間は極めて貴重」と言う。