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国内外からアジア大会開会式へ 紛争と対立を乗り越え名古屋で開幕

2026.09.19
 16日間にわたる「アジア版五輪」が19日、開幕した。コロナ禍で無観客だった東京五輪とは対照的に、開会式会場の名古屋市瑞穂公園陸上競技場には国内外から大勢の観客が詰めかけた。「アジアが一つになる」という期待を込めて。
 愛知県刈谷市の角田愛さん(33)と夫の大さん(31)、母親の榎本恵さん(55)の3人は、大会公式マスコット・ホノホンのバッグを持って開会式会場へ向かった。榎本さんが「大会を全力で楽しもう」と手作りしたという。
 東京五輪の時もチケットを取ったが、コロナ禍で無観客となり生で観戦できなかった。それだけにアジア大会は楽しみが膨らんだ。
 愛さんは「どんなショーが見られるのか」と期待を寄せた。大さんは「選手団がどんな感じで入ってくるのか。それぞれの特徴が出るので楽しみ」と話した。一家は、クリケットと陸上競技を観戦する予定。
 開会式4時間前の午後2時ごろには地下鉄・瑞穂運動場西駅から会場へ続く人の列は徐々に延びた。
 名古屋市の会社員小原涼さん(51)は、タイから訪れた友人のラチャポンさん(46)と会場へ。小原さんはタイ国旗、ラチャポンさんは日本国旗が入った半袖のTシャツを着込んだ。「大会の雰囲気を楽しみたい」と小原さん。
 中国四川省から訪れた動画配信者の何勝さん(45)は、撮影をしながら入り口までの列を進んだ。「会場までの道には看板や人が配置されているので、迷うことなく来ることができた」
■名古屋を知って!
 駅から会場に向かう交差点には大会ボランティアたちが立って、「どこへ行けばいいですか」と尋ねる人らに道案内などをした。
 名古屋市の二村健太さん(49)と近藤真佐美さん(49)は日本国旗を身にまとい、開会式に参加。「せっかくのお祭りだから楽しまないと」とアフロのかぶり物も準備した。「地元名古屋が盛り上がるのがいい。いろんな地域の人が観光をして、『名古屋ってこんなところなんだな』と思ってもらえたら」と二村さん。近藤さんは瑞穂区出身。「全部知っている場所で開かれるのも楽しみ」と話した。
 名古屋市中区の何広憲さん(64)は上海出身で、日本にきて34年。前回の杭州大会に続き今回も開会式を見る。「日本は第2の故郷。名古屋でアジア大会を開いていただいて大変ありがたい」と喜んだ。バレーボールのチケットも購入し、「中国も日本も応援したい」。
 アジア大会のスローガンは「IMAGINE ONE ASIA ここで、ひとつに。」だ。「世界中が平和であってほしい。日本と中国も仲良くしていただきたい」と語った。
 観光の面から大会を注目している人もいた。
 国連世界観光機関の関連組織に所属するアモル・タイタスさん(59)は、首都や観光都市以外での国際イベントの参考にしたいとジャカルタから開会式に駆けつけた。
 「東京や大阪以外の中規模の都市が、アジア大会のような国際イベントをどのように開催できるのか、非常に注目している」と話した。
 国際イベントを開催したい地方都市は知名度やインフラなどがネックになるといい、大会の成功は「世界(各国)の第2、第3の都市にチャンスを与える良い機会になる」。
■あのユーチューバーも(吉村美耶、周毅愷)
 午後3時ごろから競技場の客席は徐々に埋まり始めた。
 YouTubeで「不動産Gメン滝島」として知られ、熱狂的なスポーツファンだという滝島一統(かずのり)さん(50)の姿があった。
 2006年のトリノ冬季五輪以来、冬夏合わせて五輪10大会を観戦したという滝島さんは「アジア大会は初めてなので楽しみ。28年のロス五輪で活躍するアジアの注目選手を見つけたい」。
 18日の女子バレー日本対インドネシア戦を観戦。体操や陸上、馬術など10競技以上の会場に足を運ぶ予定だ。
 バレーではヒジャブをかぶったインドネシアチームが日本から1セットを取った場面に感動したという滝島さん。「かつて『途上国』と呼ばれた国が、スポーツでもめざましい発展を遂げている。セパタクローや武術太極拳など五輪では見られない競技もぜひ見てみたい」と話した。
 また、「人生をかけて頑張っている人たちが勝って流す涙と、負けた時の心の揺れを見ると感動する。自分も仕事なんかでへこんでられないと思うんです」とスポーツの魅力も語った。
 タイ人で名古屋市に住む会社員ヤムプラティト・ニッチャガーンさん(37)は友人2人と開会式に来た。女子バレーボールのファンで、18日も愛知県岡崎市の会場でタイの試合を観戦した。「多くの国が集まる。お互いに友達になれるよう、期待している」と話した。
 フランス人のローラン・デュボワさん(78)は友人の招きで東京から訪れた。「大きなスタジアムに大勢の人が集まる。盛り上がりを感じたい」
 アジア大会は第2次世界大戦後、アジアの国々がスポーツを通じて友好と交流を深めることを目的に創設された。
 午後6時に始まった開会式では45の国・地域の選手団が次々に登場した。
 大会組織委員会で会長を務める大村秀章愛知県知事は「(大会スローガンには)紛争や対立が続く地域があるが大会を通じて人々が認め合い、共に未来へ進んでいこうという願いが込められている。いつまでも記憶に残る大会になることを」とあいさつした。(松原央、山下寛久)