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サイバー犯罪、少年の立ち直りを支援 全国初、県警が取り組み 学生らと交流 IT技術、社会に役立つ方向へ

2026.06.27
 千葉県警は、サイバー犯罪に手を染めた少年を立ち直らせる支援を始めた。少年たちに、悪用した知識・技術を適切に使うためのリテラシー教育を受けさせ、学生ボランティアやIT企業従業員との交流を通じてITを社会に役立てることも意識してもらう。県警によると、こうした支援は全国の警察組織で初めて。(長屋文太)

 支援を受けたのは、4月に不正指令電磁的記録保管の疑いで書類送検された大津市の男子高校生(15)と、同じ容疑で昨年12月に児童相談所に通告された愛媛県の男子中学生(13)の2人。いずれも、相手のパソコンの情報を抜き取るコンピューターウイルス「マルウエア」を保管していたとされる。県警は、2人の特性や知識量などを考慮し、支援対象とした。

 少年2人は2月、それぞれ別の日に、自宅と県警本部をウェブ会議でつなぎ、支援を受けた。まず少年補導員から、なぜ罪を犯してはいけないかの話を聞いた。次に、IT技術を学ぶ東京情報大(千葉市)や木更津工業高等専門学校(木更津市)の学生たちと、サイバーセキュリティー技術を競う「CTF」の問題を解く体験をした。最後に、サイバーセキュリティー企業「トレンドマイクロ」(東京都)からIT業界の仕事内容ややりがいを聞いた。

 支援を提案したサイバー犯罪対策課の星尚(たかし)課長補佐は「IT技術の悪用によるサイバー犯罪の低年齢化は世界的な問題。正しく興味を導いて知識を教えれば、社会で活躍できる人材になる」と期待する。オランダやオーストラリアでは、サイバー犯罪をした少年の立ち直りを警察主導で支援しており、参考にしたという。

 少年からは「将来、プログラムを学んでIT業界で働きたい」「知識を正しく学ぶことに、興味が持てた」などと感想が寄せられた。保護者からも感謝の声があった。星さんは少年たちと接し、「知識の偏りがあったり、リテラシーが抜け落ちたりしていた」と指摘。「早いうちから支援すれば、正しい道に導ける可能性が高くなる」と話した。

◆PCの情報盗む「マルウエア」 「ルーム」内で出回る 19~13歳の9人摘発

 立ち直り支援を受けた少年2人は、マルウエアが出回っているインターネット上の交流サービス内の「ルーム」に登録していた。県警は25日、こうしたルームを利用していた、2人を含む19~13歳の計9人を、不正指令電磁的記録作成・取得・供用・保管や賭博の疑いで逮捕、送検、児相通告したと発表した。

 県警によると、マルウエアを巡る事件は昨年4月、被害者の当時13歳の少年から相談を受け、発覚。少年は「送られてきたファイルをクリックしたら個人情報が抜き取られ、『ばらまかれたくなかったら電子マネーで11万円払え』と脅された」とし、実際に払っていた。

 マルウエアを送って恐喝したのは、当時13歳の男子中学生=川崎市=だった。県警はこの中学生が登録していたルームでマルウエアのやりとりがあったことを把握。17~13歳の少年4人を不正指令電磁的記録供用などの疑いで摘発した。

 別のルームでは、サイコロを振り、出る目の大きさで勝敗を決めるオンライン賭博の開催も判明。19歳の男子大学生と、18~16歳の少年3人を賭博の疑いで摘発した。

 さらに、両方のルームに出入りし、人工知能(AI)を使って身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」を作ったとして、大津市の会社員の男(19)を24日、不正指令電磁的記録作成の疑いで逮捕。男は容疑を認め、「アサヒビールの会社がランサムウエアの被害に遭ったニュースを見て、自分も稼げたらいいと思った」と述べている。