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<ひと物語>賭けずも熱く世代交流 聖学院大 健康麻雀ボランティア・佐藤柊弥さん

2026.03.30
 賭けない、飲まない、吸わない。それが「健康麻雀(マージャン)」の合言葉。頭を使い、夢中になれる。会話が生まれ、仲が深まる。雀卓を囲めば、年の差なんて関係ない。

 聖学院大(埼玉県上尾市)の学生有志団体「健康麻雀ボランティア会」は毎月、近隣の高齢者施設などに出向き、利用者と麻雀を打っている。昨年夏に会を立ち上げた心理福祉学科1年の佐藤柊弥さん(19)は「麻雀の悪いイメージを変えたい」と意欲を燃やす。

 「麻雀は高齢者の方とめっちゃマッチしている」。体を酷使せずに誰でも手軽にでき、運が向けば実力差も覆せる。何より、高齢者層は「麻雀全盛の時代に生きてきた人たち」だ。施設に通う動機づけにもなる。

 2月下旬は、デイサービス「リハビリホーム一歩」を訪問。利用者らと和気あいあい熱戦を繰り広げた。この日、約40年ぶりに麻雀を打ったという男性(69)は「学生のときはばかみたいに打ってた。若い人は強いね。いきなりハネ満振っちゃったよ」。

 雀卓は人生を映す。打ち筋、手つき、独自の用語やルール。麻雀歴半世紀以上という小野田桂子さん(86)は戦後、家族と麻雀を打った思い出を語り、「若い人とやると気持ちが違う。賭け事でなく、どうやったら勝てるかって。負けるとちょっと悔しいけどね」。学生側の3年、小高裕貴さんも「人と関わることが学びにつながる」と世代間交流を楽しんでいる。

 佐藤さんは中学校で不登校を経験。通信制高校の松実高等学園(春日部市)に入学した。そこにあったのが、全国でも珍しい健康麻雀部。入部するや、「狂ったように」のめり込んだ。

 麻雀は相手がいないとできない。人と話すのはあまり得意ではないが、対戦中は会話が弾むときもあれば、沈黙もある。程よいコミュニケーションが心地良い。

 はじめは休みがちだった高校は毎日登校するようになり、2年生で部長を務めるまでに。戦術本を読みあさり、土日もスマートフォンのゲームで腕を磨いた。「麻雀があるから、学校に行こうと思えた。麻雀に人生を変えられた」と語る。

 プロ雀士の夢を抱きつつ、進学先には福祉を学べる大学を選んだ。「不登校だったときに支えてくださった大人への憧れ」があったからだ。会のメンバー15人も多くが福祉を学んでいる。現在は高齢者施設の訪問が中心だが、今後は中高生との交流も視野に入れる。

 「交流や競技といった多面的な麻雀を知ってほしい。賭け事、たばこ、お酒という悪いイメージで固まっている人にこそ」(杉浦正至)

<さとう・しゅうや> 上尾市出身。聖学院大「健康麻雀ボランティア会」の設立者。麻雀との出会いは小学校高学年のころ。学童保育で麻雀に似たゲーム「ドンジャラ」が流行。父に「ドンジャラは家にないの」と尋ねたところ、麻雀牌が出てきた。雀荘に行く際は賭け雀荘を避け、「健康麻雀」「ノーレート」を掲げている店を選ぶ。