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<つなぐ 戦後80年>記憶のバトン「私たちも」 昭和学院高生が戦争のドキュメンタリー制作 インタビューや市川市内の遺跡交え

2025.12.24
 昭和学院高校(千葉県市川市東菅野)放送部2年の生徒5人が、ドキュメンタリー作品「戦争の記憶を次世代へ」を制作した。市内で7月に開かれた戦争資料の展示会を機に、制作に着手。インタビューや市内の戦争遺跡などの映像を交え、約4カ月かけて完成させた。生徒たちは「悲惨な戦争を後世に伝えるために、私たちも何かをしないといけないと感じた」と話している。(保母哲)

 生徒たちは県高校文化連盟放送コンテスト・VM(ビデオメッセージ)部門への応募作を検討していた際、市内で開かれた展示会「いちかわ平和のための戦争展」を見学した。戦意高揚のため製作された絵本やすごろくがあったことなどを知り、ボランティアとしても参加。展示会を主催した口承文芸学研究者の米屋陽一さん(80)=市川市在住=や参加者の話を聞くうち、戦争をテーマにした作品を制作することにした。

 完成した作品は4分半。展示会風景や会場で行われた講演会のほか、米屋さんや市内の朗読グループ秋桜などへのインタビューを収録した。戦時中の燃料不足を補おうと、航空機の燃料にするためクロマツから松やにを採取したことも紹介し、今もクロマツに残る傷痕の映像も盛り込んだ。

 編集を担当した工藤花奈(はな)さん(17)は「授業や教科書でしか知らない戦争の実情を知ることができた」。ナレーションを担った一宝穂歌(いっぽうほのか)さん(16)も「市川には旧陸軍の武器庫として使われた『赤レンガ』や、松やに採取跡などの戦争遺跡が残っている。戦争を知る人の話を聞けたのが良かった」と話した。

 生徒たちのインタビュー映像に登場した米屋さんは、終戦直後の1945年11月生まれ。おなかに米屋さんがいた母親は、空襲による火災の中、水をかぶりながら逃げたことを生徒たちに伝えたという。

 米屋さんは「展示会は、若い人たちに戦争を知ってもらおうと開いた。高校生が戦争と地元のことに関心を持ってくれ、映像作品まで作ってくれたのがうれしい」と喜んでいる。

 作品は、高文連のコンテストで優良賞を受賞。放送部顧問の木村一也教諭(37)は「生徒たちはいろんな人にアポを取ってインタビューしたり、作品の構成を考えたりと、頑張って作品を完成させた。よくやったと思います」と、その取り組みをたたえていた。