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Kyoto伝える 英語雑誌 創刊40年へ

2025.09.24
 京都をはじめ日本、アジアの文化を伝え、海外でも読まれている英語雑誌がある。1987年創刊の「Kyoto Journal」だ。京都に集まった作家や写真家がボランティアで記事や写真を持ち寄る。資金難やコロナ禍を乗り越え、2年後の創刊40年をめざす。
 Kyoto Journalは年3回ほどの発行。2回はデジタル版のみ、1回は印刷版も出す。100ページを超え、写真家のカラー写真が半分、詩人や作家らによる記事が半分だ。
 創刊者はアメリカ・コロラド州出身の写真家のジョン・アイナーセンさん(72)。1980年代初めに来日し、英語の先生をしていた。放浪の末、京都にたどり着いた写真家や詩人ら約10人が自宅に集まり、一緒に創刊した。「誰も雑誌を作った経験はなかった。でも、情熱だけはあった」
 資金に余裕はなく、寄稿者や写真家に報酬は出ない。印刷費の値上がりで、販売収入も消えた。2000年代の最盛期の6千部から近年は1千部ほどに減った。ただ、編集には手間をかける。
 一番のお気に入りは、紅葉を取り上げた50号。京都御所やお寺に通って紅葉を集め、押し花を作り、購読者向けの雑誌に挟んで届けた。「涙が出たよ」と反響をもらった。
 資金難で76号からデジタル版だけになった。寄付、予約注文、広告などで資金を集め、89号から印刷版を再開した。コロナ禍では海外向けに送った雑誌が届かず、売り上げは落ち込んだ。
 そのさなかの20年、アイナーセンさんはがんで入院。98、99号を作っているときだった。「死ぬまでに100号を作りたい」と抗がん剤治療を乗り切った。100号ができたときは「とても幸せだった」と振り返る。
 コロナ禍も収まり、京都を訪れる外国人観光客は増えた。「京都は、食べる、買う、だけではない文化を体験できるのがいいところ。京都の人たちは外国人に特別な体験をさせてあげている」
 いまは10月発刊予定の109号の編集が大詰めを迎えている。「京都には誰もが知っている風景がある。最新号では、有名ではない京都の風景を紹介する」という。
 9月24~28日、京都市左京区の市国際交流会館で写真展を開く。最新号に掲載予定の写真や過去の写真など約30点を展示する。詳しくは日本文化構造学研究会のウェブサイトへ。(茶井祐輝)