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一人親家庭対象の無料学習支援「たいよう塾」 宮崎市内5カ所に開校
2025.12.02
経済的な理由で学習塾などに通えない子もいる一人親家庭を支援しようと、今春、宮崎市内5カ所で無料学習塾「たいよう塾」が開校した。運営者や講師を務める元教員、大学生たちが「経済格差を教育格差にしない」「子どもたちの将来につながる学びの機会と居場所の確保を」と奮闘している。
日曜日の午前、宮崎市錦町のスーパーマーケット2階。パーティションで仕切られた一角に設けられた、たいよう塾本校に7人の小学生や中学生が訪れた。
思い思いの教科の問題集などを机の上に広げると黙々と解き、わからない部分があれば講師に質問して助言や解説を受ける。1時間ほどすると休憩して、提供されたお菓子をつまみ、また机へと戻っていった。
4月に開設されたこの無料塾を運営するのは、宮崎市から事業委託を受けている一般社団法人「宮崎ひとり親家庭支援ネットワーク」だ。県内各所でシングルマザーやその家庭の支援活動をしてきた個人や団体が集まり、3月に発足した。
これまで、それぞれが子ども食堂や母親の就労支援などをする中で、奨学金や学校授業料無償化についての一人親家庭への情報提供や手続きの支援に加えて、学習支援の場を設ける必要性も感じてきた。知り合いが続けてきた学習支援をやめると聞いていたことや、宮崎市が事業の運営者を公募したことから手を挙げた。
本校のほかに、宮崎大や公立大のキャンパス内、赤江地区交流センター、宮崎市下北方町(神宮校)の計5カ所でそれぞれ週1回、2時間ずつ開いている。神宮校ではオンラインでの参加も受け付ける。
小学3年~高校3年までの計88人(10月時点)が塾生となり、元学校教員や教員志望の大学生ら67人がボランティア講師を務める。
中学校などで長く数学を教えてきた鎌田政行さんもその一人だ。「学校で教えてきた経験を若い人たちに還元できれば」と参加した。たいよう塾に来る子どもたちからは「何とか前向きに進もう」という意志を強く感じ「その期待に応えなければ」と、教え方や最近の数学について自身の学びも深めているという。
宮崎大教育学部2年の水田心花(ここは)さんは「塾に行けない事情がある子たちをサポートしたい」と講師になった。人に勉強を教えるのは初めてだったが、説明に耳を傾け熱心に質問してくる子どもたちと接して「教えることが天職のように感じられる」と話した。
報酬は交通費として支給される1回2千円。それでも毎週、様々な子どもと触れ合うことができて、心理カウンセリングの研修なども受けられることが魅力だという。
ネットワークの代表理事、松田葵美香(きみか)さんは自身もシングルマザーとして3人の子を育てている。授業や受験のためだけではなく、基礎学力や自主学習の習慣を身に付ける場を設けることが、子どもたちの将来をひらくことにつながると考えている。
「学習支援を含め、一人親家庭が抱える様々な問題について相談や対処ができるワンストップサービスが必要」と感じており、そうした場づくりも目指している。
たいよう塾では、講師ボランティアを募集しており、特に理数系や大学受験に対応できる人材が不足しているという。問い合わせはメール(manabi.miyazaki41@gmail.com)で。(吉田啓)
日曜日の午前、宮崎市錦町のスーパーマーケット2階。パーティションで仕切られた一角に設けられた、たいよう塾本校に7人の小学生や中学生が訪れた。
思い思いの教科の問題集などを机の上に広げると黙々と解き、わからない部分があれば講師に質問して助言や解説を受ける。1時間ほどすると休憩して、提供されたお菓子をつまみ、また机へと戻っていった。
4月に開設されたこの無料塾を運営するのは、宮崎市から事業委託を受けている一般社団法人「宮崎ひとり親家庭支援ネットワーク」だ。県内各所でシングルマザーやその家庭の支援活動をしてきた個人や団体が集まり、3月に発足した。
これまで、それぞれが子ども食堂や母親の就労支援などをする中で、奨学金や学校授業料無償化についての一人親家庭への情報提供や手続きの支援に加えて、学習支援の場を設ける必要性も感じてきた。知り合いが続けてきた学習支援をやめると聞いていたことや、宮崎市が事業の運営者を公募したことから手を挙げた。
本校のほかに、宮崎大や公立大のキャンパス内、赤江地区交流センター、宮崎市下北方町(神宮校)の計5カ所でそれぞれ週1回、2時間ずつ開いている。神宮校ではオンラインでの参加も受け付ける。
小学3年~高校3年までの計88人(10月時点)が塾生となり、元学校教員や教員志望の大学生ら67人がボランティア講師を務める。
中学校などで長く数学を教えてきた鎌田政行さんもその一人だ。「学校で教えてきた経験を若い人たちに還元できれば」と参加した。たいよう塾に来る子どもたちからは「何とか前向きに進もう」という意志を強く感じ「その期待に応えなければ」と、教え方や最近の数学について自身の学びも深めているという。
宮崎大教育学部2年の水田心花(ここは)さんは「塾に行けない事情がある子たちをサポートしたい」と講師になった。人に勉強を教えるのは初めてだったが、説明に耳を傾け熱心に質問してくる子どもたちと接して「教えることが天職のように感じられる」と話した。
報酬は交通費として支給される1回2千円。それでも毎週、様々な子どもと触れ合うことができて、心理カウンセリングの研修なども受けられることが魅力だという。
ネットワークの代表理事、松田葵美香(きみか)さんは自身もシングルマザーとして3人の子を育てている。授業や受験のためだけではなく、基礎学力や自主学習の習慣を身に付ける場を設けることが、子どもたちの将来をひらくことにつながると考えている。
「学習支援を含め、一人親家庭が抱える様々な問題について相談や対処ができるワンストップサービスが必要」と感じており、そうした場づくりも目指している。
たいよう塾では、講師ボランティアを募集しており、特に理数系や大学受験に対応できる人材が不足しているという。問い合わせはメール(manabi.miyazaki41@gmail.com)で。(吉田啓)